ブロンズ像のデータ
「日蓮聖人像」
建 立 / 大正7年(1918年)
サイズ / 高5.3M×横幅2.2M×奥行1.8M
重 量 / 3.7トン
高さ5M以上の石台座の上に建立。
※本記事は、金沢日蓮聖人銅像護持会様の許可を得て公開しております。
修復内容
10年ごとに行われるメンテナンスより台座と足元の間に亀裂、また石台座と銅像下部の円形接面部分に隙間を発見。倒壊の恐れもあると判断し、今後の安全性の確保のため修復工事を開始した。(修復期間/2016年5月~2016年10月)
- ブロンズ像共金台座及び銅像下部の1/3を鋳造復元
- 銅像上部2/3の劣化箇所を修繕
- 銅像の内部補強と銅像全体及び台座の銘板3枚の着色と修繕
①メンテナンスチェック
10年ごとの着色メンテナンスで、銅像本体の揺れ、本体と台座の亀裂を確認。
メンテナンスチェックにより倒壊の恐れがあると判断し報告。
日蓮聖人像の全体図
銅像外面調査
共金台座部と石台座の間に亀裂、破損を確認する
銅像外面調査-銅像が揺れる原因-
銅像の足元と円形共金台座に隙間を発見
銅像外面調査-破損箇所-
雨垂れにより、像の袈裟下部に劣化した箇所を確認
銅像内面調査-点検口-
像の足元に点検口の金網を確認
銅像内面調査
金網部を外し、銅像内部を細かく調査
銅像内面調査-内面の写真-
銅像内面の首元などに穴や腐食部を確認
銅像内面調査-補強の確認-
内面には1本の芯金。内面補強の必要性を確認する
②搬出用 路面養生工事
石台座を含めると高さ10m以上(本像は約5m)になる大型ブロンズ像。一部の鋳造修復を行うため工房へ移動するためにクレーン車の導入が必要に。今回は50tクレーン車の搬入搬出経路確保のため、路面の養生工事を実施。
路面の養生工事
鉄板の搬入
路面の養生工事-道路の保全と作業音軽減-
公道の一部使用につき、市役所と地元警察への許可取りへ。
路面を傷めないよう鉄板に養生マットを敷き、隙間にアスファルト舗装を。
敷地の入口及び公道の保全と作業音の軽減のために実施。
50tレッカー車の搬入
約100年前に建立された3.7tのブロンズ像の搬入搬出のために50tレッカー車を用意
③本像の解体と搬出
2016年6月16日 解体及び搬出作業を開始
解体と搬出作業
本体上部を搬出
銅像を上を2/3、下部1/3に解体し搬出工事を行う
本体上部を搬出
本体下部の解体工事
本体下部の解体工事
本体下部の解体工事。復元鋳造のために慎重に台座から切り離す
本体下部の解体工事
50tレッカー車で搬出
④型取りと鋳造
銅像下部1/3の部分を再鋳造。復元鋳造を終えた上部2/3と接合へ。今回は、銅像の強度を上げるため本体下部は、上部よりも肉厚設計して鋳造。
銅像の内部はステンレス材で補強(共金台座もステンレス材で補強。石の台座との接合で倒壊防止に。
メス型の製造
メス型の製造
メス型の製造
分解したメス型を組み合わせ、溶かした銅を鋳込む。
銅像内部の補強
1本の芯金からステンレス材の補強へと変更。
本体上部2/3の修繕
色をとり、穴など破損部を補修。
上部と下部を溶接接合。仕上げ工程へ。
50tレッカー車で搬出
⑤着色・最終確認・搬入
着色後に、像全体の仕上がりの最終確認を行う。
着色の工房にて
像全体の最終確認。着色の状態や補強材の確認を行う。
着色用の足場現場にて
内部の補強材の確認
設置現場台座の修繕作業
台座も再設計
着色工房からトラックで運搬。搬入作業へ。
石台座への設置作業
ナット隠しとして宝珠のキャップを。
本像内部の水抜きパイプを設置
⑥完成式
2016年10月7日 日蓮聖人銅像 修繕・再設置の完成式。